ADR法制の改善についての提言

活動報告

「ADR法制の改善についての提言」(2018年版)を法務大臣に提出

2018年4月25日、「ADR法制の改善に関する提言」(2018年4月25日)を法務大臣に提出し、現状の問題点等について説明を行いました。

2018年提言は、本協会がすでに提出した2012年提言(「ADR法改正に向けて」(2012年4月1日))を踏まえつつ、ADR機関・関係者の皆様のご意見をうかがって,新たに取りまとめたものです。2012年提言以降の国内・国際情勢の変化を考慮し、新規の提言を加えるなどして,大幅にバージョンアップしました。

「ADR法制の改善に関する提言」概要(pdf)

「ADR法制の改善に関する提言」(2018年4月25日)(pdf)

提言の主な内容は以下の通りです。

■ ADRと裁判手続等との関係に関する理念の明確化

ADRと裁判との関係、また、民間型ADRと民事調停等の司法型ADR及び行政型ADRの関係について、両者が紛争解決手段として対等の関係にあることを規定上明確化すべきである。

■ 大規模災害時等における規則変更等の認証の迅速化等

時限的に、規則から外れたADRを行うことを許容すること、認証を短期間(数日など)で行うこと(緊急認証)などの取扱いを検討すべきである。

■ ADR前置事件の拡大

現状の他にADRを前置すべき事件がないかにつき検討を加え、必要な場合には、民事調停等の前置事件を拡大するとともに、当該事件につきADR法第27条による特例の対象とする ことを検討すべきである。

■ 裁判所等によるADR利用の勧奨・付ADR

訴訟事件が係属する裁判所等は、適当と認めるときは、事件の性質に応じて適当と認められるADR機関において和解交渉をすることを勧めることができるとする旨の明文規定を設けるべきである。さらに、必要と認めるときは、事件を認証ADRの手続に付すことができる旨の規定を設けることを検討すべきである。

■ 手続応諾義務の適用範囲の拡大

現在一部のADRで導入されている手続応諾義務に関する規律の適用範囲をさらに拡大する可能性について、検討に着手すべきである。

■ ADRにおける和解合意に対する執行力の付与

ADRにおける和解合意に対して、当該認証ADR機関の選択により、裁判所の執行決定による執行力の付与を可能とすべきである。

■ 秘密の取扱いについての規定の整備

調停に関連する情報について、手続実施者及びADR事業者の守秘義務を規定することにより、守秘義務の対象となる事項について、民事・刑事訴訟での証言拒絶や捜査機関等第三者からの照会に対する回答拒絶を可能にするための根拠規定を整備すべきである。

■ ADR利用促進のための国の責務の明確化、国側の体制強化

ADRの担い手の資質の向上や裁判所等とADRとの適切な連携のために必要な措置を講ずることについての国の責務を、規定上明確化するとともに、内閣としてADR利用促進計画を閣議決定する、省庁間の連絡会議を積極的に実施するなどの措置をとるべきである。

本協会では、2018年提言の実現を含め、ADR法制の改善、ADRの活性化に向けて、引き続き活動を続けて参ります。

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