第6回ADR法改正WG議事概要(2011年10月24日)

出席者(敬称略)

荒木敏朗、安藤信明、伊藤浩、小原正敏、奥田代理、垣内秀介、佐藤昌之、沢田登志子、志野忠司、田中圭子、渡部晃

(ADR調査企画委員会から)道垣内、森、山田、山本、柳澤、入江[skype]

1.ワーキング・グループ報告書の内容について

座長より、【審議資料15】論点整理メモ(改訂・差替版)に基づき、説明と議論が行われた。以下、項目ごとに意見の概要を記載する。

Ⅰ.ADR法総則部分関係(基本理念部分の充実・「基本法」化)

1.ADRに関する通則的規定の充実

1-1.ADRと裁判手続との関係に関する理念の明確化

・前回WGの議論を受けた新規論点。

・ 意図は、裁判や民事調停と同様に、ADRに国の財政支援があるべきだという主張。

・ 理論的にはなかなか難しいが、促進的立場としては考え得るか。

1−2.ADRに関する指導的な諸原則(行動目標)についての規定の整備

・ 規定の性質が不明確ということもあり、前回WGでは積極的意見はあまりなかった。現行法でも読もうと思えば読めることが多い。積極的意見がない場合は、具体的には盛り込めないかも知れない。自主性に委ねられるべきとの意見も根強い。

1-3.調停人・手続についての基本的なルールの整備

・ アンケートでは半分くらいは必要という回答があったが、前回WG会合では自主性を害するのでよろしくないとの意見があり、業界横断的なものも不要、ADR協会は資料提供くらいで良いとの意見があった。

・ 明確な意見がある訳ではないが、アドホック調停などの際、既存の機関ルールを参照する以外に、こういうものがあれば参考にできるかも知れない。

・ モデル規則的なものでも対応可能。

・情報提供でも良い。立法の必要はないかも知れないが、ニーズはありそう。

・ ADR検討会でも、手続きで争いがある時や、各機関の規則制定の指針として意義があるなどの意見があったようだ。しかしこれもモデル規則で十分か。国民への広報という視点もあるか?

・ 実ニーズにはモデル規則などの形で対応することとして、ADRは自主性と自由度が重要なので法の規定は不要、という立場をあえて明確にしても良いかも。

1-4.秘密の取扱いについての規定の整備

・ 前回WGでは別案も出したが、当事者自身はそれほど大きな問題ではないようだ。捜査機関に対して、弁護士以外は法律上守秘義務がないので問題という認識。

・ 仲裁検討会において、仲裁人の証言拒絶権を設ける前提として、罰則付き守秘義務を課すとの案があったが、仲裁人からの抵抗で立ち消えとなった。ADR事業者等に罰則をつけても大丈夫か?法制的にはそうならざるを得ないとの説明を受けたが。

・ その問題はある。士業は既にあるが、それ以外の人はどうだろうか?

・事務局はどうなるか?

・ 機関の事務の履行補助者として、認証機関には確保せよということになっているが、罰則はない。本人に定めるというやり方と機関にというやり方が考えられる。

・機関に課した場合は、法人代表が罰則を受けることになる?

・個人情報保護法と同じではないか。従業員が情報漏洩したら法人の責任。

・民事訴訟の職業の秘密(197条の類推)では読めないか?3号が、より一般的な職業の秘密である。

・ それだと比較考量になってしまう。また、民事訴訟ならOKだが、訴訟外で警察に聞かれる場合などには対応できない。

・ 外に対してはわかるが、手続き内で聞いたことを相手方に伝えないと仲介できないことがある。伝えたことを相手方がブログに書いたりすることもよくあるが、そうなれば公知の事実か。秘密とは何かという問題も。外縁がはっきりしないと萎縮効果が生じる。

・はっきりさせるとしたらどのようにすべきか。

・ 秘密保持のために和解の仲介の目的を阻害するようになってはいけない。当事者はコントロールできない。

・ 通常は守秘の合意までは取らない。非公開と守秘とは違う。

・当事者自身に守秘義務は課せない。

・阻害にならない限度では守秘は重要。

・ 相手に伝えると守秘義務違反と言われてしまうのは困る。伝えて良いかと明示的に聞くと、それはちょっと、と言われるようなこと。

・当事者が伝えて欲しくない内容を相手方に伝えるのは、常識としてダメなのでは?

・ ダメと言っていればダメだが、グレーなケースの話。

・ 合理的な範囲であればあり得る。逆に、重要なことを断りもなく伝えるのはプライバシー違反になり得る。 それは弁護士法でも同じこと。

・どっちかわからない時はOKとしてくれれば良い。

・ そういえばあるかもとは思うが、現場ではあまり問題になっていない。問題になるのは対外の話。手続き内ではあまり厳しく決めない方が良いのはそう思う。

・証言拒絶権は刑罰とセットになるのか?UNCITRALの例外規定もあるが。

・米国の統一調停法も参照可能。

2.ADRの担い手育成

2-1.ADRの担い手育成の理念の明確化

2-2.手続実施者以外のADRの担い手(事務局スタッフや手続に関与する専門家など)についての規定の整備

・ 道垣内先生からご提供いただいた参考情報(スポーツ基本法)を入れた。規定を置くべきとの積極意見はそれほどない。

・ アンケート結果が全体の意見を反映している訳ではないとは思うが、結果は結果として尊重すべき。個人的には、各機関に委ねると書き、各機関が努力する行動に結びつくといいと思うが。

・ スポーツの分野では、スポーツ基本法に基づき文科省が基本計画を立てる。こういった規定を置けば、これを根拠に、人材養成、派遣のためのプログラムが組める。ないよりはあった方が何かと使える。機関への支援もあるのでスタッフへの支援もできる。将来的には、機関間を動ける人材マーケットができると良いと考えている。

・「裁判との関係」のところに入れても良い。

2-3.ADR士といった資格の創設

3.弁護士法72条の規律の緩和

・前回の議論を受けて新規論点として3を追加。

・ 弁護士以外がADRをやったら基本的に犯罪、というのはおかしい。選択肢として、弁護士法72条の「仲裁若しくは和解」を削除するという案(C案)もあるのではないか。

・ 政省令で限定的にOKとしている例はある。

・ これを緩和したら認証制度も要らなくなる。暴力団排除のために必要な規律。

・ やくざ排除は別の方法でもできる。現在は、「原則NG・例外的にOK」という構成だが、「原則は誰がやってもOKだけどやくざはNG」としても良いのではないか。弁護士や認証ADRとやくざとの間に、多くのADRが存在する。

・法的なことは当該ADRの外でカバーするという方法もあっても良い。

・ 万が一のことがあった時にユーザがちゃんと救済されるかどうかが重要。認証制度はあまり良いとは思わないが、きちんとやっていることをアピールすることは必要。

・ まさに競争原理。法的なレビューをきちんとやらないADRは淘汰されるので、法で縛る必要はない。

・ADR士という別の基準を作って緩和するというオプションはあるかも知れない。

・認証制度の効果は他にもいろいろあるので、弁護士法72条の例外を認めるかどうかという点について認証とは別に規律したとしても、認証制度の意義がなくなるわけではない。アプローチとしては、①認証要件そのものの緩和、②ADR士など、認証とは別の枠組みによる例外の設定、③弁護士法72条適用範囲そのものの縮小、といったものが考えられる。

・ 法的な問題はしっかり フォローすべきことは組織として当然のことであるが、ADRの特徴として「コミュニケーション能力」 を前面に出しているのに、その点と72条の結びつきが分かりにくいし、常に念頭に置かれている危惧感がある。とはいえ、真っ向から反対しても空しいことは身にしみ ている。ADR法制定時の議論に遡る必要があるのではないか。

・JADRAで丸適マークをやるか。

・背景説明にC案を潜り込ませるのが良い。

Ⅱ.認証制度(要件・手続)関係

4.認証手続の簡素化

5.認証の実体的要件

・今回の提言案でOK。

Ⅲ.認証ADRに対する法的効果の付与

6.民事調停や行政型ADRとの連携に関する規定の整備

6-1.事件の回付

・今回の提言案でOK。

6-3.事件回付以外の形での連携

・今回の提言案でOKだが、1−1との関係でもう少し見直すべきところがあるか。

7.ADRにおける和解合意に対する執行力の付与

・執行力が要らないというところにも認めるという趣旨か?

・オプションとするかどうかは明確な議論がなかった。

・執行力があると、入口で利用されなくなることを懸念するところもある。

・ 選択させるということか?執行力を与えられる範囲にもよるが、特定のADR機関に認めるのはなかなか難しい。

・内部の規則で「債務名義はやらない」と書くとか。

・認証の時に規則を提出するので、その際に選ぶということか。

・執行決定でやればハードルを分けなくて良い。

・選択を可能にするのと要件を変えるのは別の話。

・そういう考えの機関があるということか。

・ 執行力は、あまりADR機関は重く見ていない。機関ごとに分けるよりは、和解契約の中に執行決定を受諾する文言を入れて手当するなどで可能。

・ 仲裁法38条2項と同じなら敢えて規定を設ける必要があるのか。和解合意する前に仲裁合意などする必要がなくなるということか。

・ADR法では仲裁は対象になっていないので違和感。

・今のやり方を踏襲しなくても良い。

・ 現実のニーズは感じない。民事調停との違いを説明する時に、「同じ効力がある」と言いたいという程度。

全てに必要かというと疑問。運用の中に当事者の意思を反映する方が良い。

・仲裁法と同じで良いのなら書いても良い。それがだめなら今の運用もだめという理屈になる。

・債務名義性のほかに、財産開示にも使える。

・強制執行前提だが。

・ 公正証書外しているのは?

・ 利用者から見てどうなのか?入口でどこまで理解しているかは疑問。

・執行力があると警戒されるということか?

・落としどころは「選べる」と書くことか。

・ 執行力が必要という場面はそんなにない。ADRを知らない人ほど欲しがる。議論すること自体どうかと思っている。

・ 社会保険労務士会では、振込の約束をした会社が指定の期日までに振り込まなかった時に、執行力がないと次の段階にいけないという例がある。

・企業が支払わないケースはそんなによくある?懸念する会社なら、期日内に支払いさせることも。

・督促しても埒があかないようなケース。

・それはそもそも和解していると言えるのか?

・大きな金額で長期にわたる支払いや、非金銭的な請求、例えば「明け渡し」などの時には問題となろう。

・認めることもできる、くらいの提言でどうか?

・現在は全部になっているが、これを選べるように変える。

・ 仲裁法で、消費者契約と労働契約を対象外とした経緯がある。執行力をつけられてしまうと強制執行されてしまう懸念から。裁判なら過払いとかの手当もできるが。大阪弁護士会では消極的。ただ、全てではない形で執行力の道があっても良い。

・離婚後の養育費などは、何年か経って履行してくれないというのはよくある。

・一切反対ではないとすれば、ADR機関ごとに選択可能としつつ、当該事件の当事者の執行受諾意思を要件とする形で盛り込むことにする。

Ⅳ.その他

8.利用者に対する周知・情報提供

8−1.ADRに関する広報の充実

8−2.法テラスとの連携の強化

・抽象的には国等の責務として、もう少し書くべきか。

・裁判所にも何かやらせることはないか?

・アクションプランにはあったが・・・

・ 最高裁からADR Japanにリンクが貼られただけ。

・ 関係省庁会議も名目だけは残っているが・・・

8−2−2.ADR利用の法律扶助の対象化

・難しいだろうけど、できるならやってもらおうという趣旨。

・法テラスの理解では、受託業務の対象ではないとのことであった。弁護士会が独自にやっている?

・大阪弁護士会は自主事業として実施。詳細は追って情報提供する。

・申立費用への補助も書いて欲しい。

9.ADR機関の財政支援のための予算措置

10.ADR利用促進のための国側の体制の強化利用の法律扶助の対象化

・書けば何かくれる?

・ 何かはあるだろう。

 

今回の議論を受け、提言案の修正を行い、次回WG(11/28)に提示する。

2.シンポジウムの準備状況について

座長より現在の検討状況を報告。

12月5日(月)15:00-17:30

 

 

 

 

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