第5回ADR法改正WG議事概要(2011年9月30日)

出席者(敬称略)
荒木敏朗、伊藤浩、北川和郎(小原代理)、垣内秀介、加藤幹夫、河井聡、佐藤昌之、沢田登志子、志野忠司、渡部晃

1.ワーキング・グループ報告書の内容について
座長より、前回集計後に回答のあった2通を加えた【審議資料11】アンケート集計表(2011年9月12日)【審議資料12】自由記述集計について紹介された後、【審議資料13】提言のための論点整理メモに基づき、説明と議論が行われた。以下、項目ごとに意見の概要を記載する。

Ⅰ.ADR法総則部分関係(基本理念部分の充実・「基本法」化)
1.ADRに関する通則的規定の充実
1-1.ADRに関する指導的な諸原則(行動目標)についての規定の整備
・指導的諸原則は、強行法規として定めるということか?
・ 強行法規とは考えにくい。努力規定だろう。
・ どうしても必要なものがあるなら強行法規とすべきだが、抽象的なものなら現行規定で十分。
・強行規定は、狭義では私法上の契約を無効にするものだが、広義では罰則なども。
・規約が無効になるようなものがあるかどうか。
・手続き実施者の守秘義務くらいは努力義務でなくても良いのではないか。罰則ではなく、規約のうち、それに反するところは無効とか。
・質問のイメージは努力義務的な感じである。
・ADRは、対話で任意の交渉をしていくものという側面を強く考えると違和感。それとは別に、弁護士的にいうと落としどころを見ながら調整していくというのもある(前者では弁護士会は商売にならない)。基本理念がそもそも2つあり、緊張関係にある。
・理念が多様性を否定しては困る。多様性は認めつつも最低限これだけは、というものがあれば努力義務的になるか。どんどん抽象化していくと、規定をおく意味がわからなくなってくる。
・ ADR法3条2項で「裁判外紛争解決手続きを行う者」として努力義務の主体になっているのはADR機関?手続き実施者?
・ 議論があったが、ADR機関でしっかり回していこうという話なので、機関を指すと理解。

1-2.調停人・手続についての基本的なルールの整備
・ 土地家屋調査士会、行政書士会の回答では賛成意見が多い。
・ 各ADRが独自性を発揮するべきことであり、規定を設けるべきではない。類似の業界でモデル規則を作るという案もあったが、他の業界のものをモデルにすることもしない方が良い。任意規定と言っても、何もなければ適用されるとなれば拘束性は大きい。
・モデル規則でなくても、単なる例示、羅列なら問題ないのではないか。弁護士会で作成している親切マニュアルのようなもの。
・積極的意見の方は?アンケートでは、透明性の点も課題に挙がっていた。
・各機関は「法令に遵守したルール」でやっていると言わざるを得ないので、やはり多様性を阻害すると言わざるを得ない。
・ アンケート自由記述のp13以降を参照。

1-3.秘密の取扱いについての規定の整備
(座長による補足説明)
・ UNCITRALモデル法では、ADRの過程で入手した情報には証拠能力がないとされているが、日本は自由心証主義なので、証拠として採用される可能性もある。
・ アンケート自由記述では積極的反対論はなかった。消極論は、法改正するまでの蓄積がないというもの。A案B案の差異は、若干技術的なもの。いずれにしても、調停不調の場合に、その関係書類等が訴訟で使われるのは望ましくないという問題意識。
・調停当事者間の訴訟なら証拠制限契約と考えて差異は生じない。第三者との訴訟だと、証言拒絶権が問題になる。調停手続きで出してしまえば訴訟で出さなくても良くなると、悪用される懸念もあり、UNCITRALモデル法でも例外事由がある。
・ その前に基本的方向性をどうすべきか。弁護士会が半々だったのはどういう理由だろうか?
(討議)
・場面による。法廷に持ち込むことにあまり抵抗はないが、裁判所や捜査機関から照会があった時に回答するのは抵抗が強い。二弁で断った例がある。当事者の同意が推定される事例では回答したが、但し日付など形式的なもののみ。
・弁護士は拒否できるがADR機関としてはどうか。
・当事者がどう扱うかとADR機関がどう扱うか、両方の問題意識が含まれている。
・後者については、法に規定を置いて断れる方が良いのではないか。
・民事訴訟法改正に向けて日弁連から、ADR機関にも認めるよう意見を出している。しかし民訴だから採用されないだろう。ADR法なら実現するかも知れない。
・非開示特権が要らないという人はあまりいないのでは?
・ ADR機関としては迷うことがあるので、規定があった方が良い。以前、最高裁の人に問い合わせられたが答えられなかった。実務では本音の突っ込んだ議論をする。当事者は秘密を守るだろうが、機関は困る。
・当事者については、法律に規定までは要らないか?
・出すときは個別に合意すれば良い。知財センターの規則には定めてある。
・ A案であれば各機関のルールで対応可能、B案ではそれだけでは解決できない。
・ A案で「手続利用合意をした当事者間」とあるが、実務では、手続き開始にあたり明確な合意がなく、なんとなく始まっているケースもあるので、機関のルールだけで対応可能とも言えないのではないか。
・ 認証ADRでは必ず合意してから手続きを開始することになっているが、法にあった方が良いという場合もあるか。
・検討会では、裁判官委員が自由心証であるべきだと発言していた。

2.ADRの担い手育成
2-1.ADRの担い手育成の理念の明確化
・人材育成などの努力を怠ったADRは淘汰されるということではないか?自主性に任せれば良いのでは?
・提案者のイメージは、各機関が努力するという行動に結びつけるという趣旨であろう。

2-2.手続実施者以外のADRの担い手(事務局スタッフや手続に関与する専門家など)についての規定の整備
・ 必要だという意見はあまりなかったようだ。

2-3.ADR士といった資格の創設
・アンケートでは、必要という意見はそれほどなかった。
・ 弁護士法72条との関係を問題にしていた回答があった。同条がADRの発展を阻害しているという点は、課題として挙げても良いのではないか。ADR法3条の「法による紛争の解決」という言葉も議論のあったところと思うが、実際には、法的ではない紛争解決も多々あり、当方のように国際的事案を扱う場合に、日本法の弁護士に限定することにどれだけ意味があるかと考えている。
・賛成。ADRは法的解決ばかりではない。その落としどころとしてADR士があるなら賛成。
・仲裁は弁護士以外も昔からやっていた。正当業務行為として違法性阻却事由があるという理解。
・しかし構成要件には該当する。
・「法による紛争解決」は、立法者の意図は「違法ではない解決以上の意味はない」とのこと。
・検討項目としては挙げて然るべき。

Ⅱ.認証制度(要件・手続)関係
4.認証手続の簡素化
・非常に強い意見のあったところ。具体的に提案するとしたらどのような内容か。
・アンケートでは、役員交代が頻繁なところは困るという意見が多かった。
・実際、結構大変である。
・変更もそうだが、全て届け出ろと言われるのが困る。住民票など、市町村合併や住居表示の変更などまで含まれるので、追いきれない。2か月に一回の理事会で毎回告知しているが、それでも漏れが出る。忘れるとすごく大変。
・役員の兼職を追いかけるのが負担。こればかりやっているような気がする。兼職の多い人を役員にしなければ良いとは言っても、名のある人に就いてもらおうと思えば避けられない。1年に1回ならまだしも、変更があったら直ちにというのも困る。上場企業でさえ、有価証券報告書で良いとされている。なくすのがベストだが、最低、事業報告書で良いとして欲しい。
・ここは非常にコンセンサスを得やすい部分。

5.認証の実体的要件
・これについて触れている回答割合からいうと、特に提言に入れなくても良いか。弁護士法72条問題は前の方で扱う。

Ⅲ.認証ADRに対する法的効果の付与
6.民事調停や行政型ADRとの連携に関する規定の整備
6-1.事件の回付
・裁判所に向いてないからADRにいけというのは問題。調停前置と同じ特例を認証ADRでは設けている。付調停とパラレルなら否定する必要はない。任意を超えて薦めても良い。
・ 調査士会の筆界制度やPLなどをイメージするとわかりやすいが、それ以外のADRに何を付したら良いかわからない。日頃からコミュニケーションしておく必要。
・調停に振られても費用は安いから良いが、民間ADRに無理やり行かされると、いろいろ費用がかかるので当事者がイヤがるかも知れない。
・利用契約を擬制?費用のことを考えると難しいかも知れない。強い反対はないと思って良いか?
・「できる」くらいは入れても良い。
・ 印紙分が回ってくるとか。

6-3.事件回付以外の形での連携
・裁判とADRのイコールフッティングを基本理念として掲げ、財政支援措置(裁判所予算を削ってADRに充てるなど)につなげることを書いても良いのではないか。

7.ADRにおける和解合意に対する執行力の付与
・回答の40%くらいは必要と言っている(集計表p24の数字訂正)。
・要件はともかく、どちらかといえばあった方が良い。実際は仲裁合意をとって仲裁判断にしてしまう。チェックと言っても同じことしかできない。
・A案については確かに。
・執行決定までの債務名義なのか、ほんとの(民事執行法22条の)債務名義なのか。後者とすると仲裁判断より強くなる?
・公正役場ではないので、、
・認めるべきでないという意見はB案を想定しているのか?A案であれば仲裁判断と同じ。
・内容的におかしかったら裁判所が何か言えるようにするかどうかで分かれる。
・立法時には、消費者団体が反対していた。勝手に債務名義を作られるという懸念らしい。
・これを入れるなら、逆に今より厳しい認証が必要になる。認証ADRの中で更にランクをつけるなど。
・和解決定であれば仲裁法38条と同じ。これを少し簡易な形にするということか?
・弁護士会の枠組みだと裁断型のADRで、仲裁もやっているので親和性がある。しかし裁断をやっていない組織では、仲裁法38条のようなことはやっていない。
・効果ではなく要件として、仲裁手続きを持っているところに限るのはどうか。
・仲裁合意では、当事者はその方が良いと思ってやっており、執行される認識があるとの理解だが、一部の当事者の認識とは異なるかも知れない。
・仲裁判断は弁護士が書くから良いが、よくわからない判断がいろいろ出てきそう。
・基本的な方向は「あって良い」とし、実際の方向性は更に検討することとする。

Ⅳ.その他

・財政政措置、法律扶助については反対はない。
・どうせそのまま通る訳ではないので、言うだけ言っておくべき。

今回の議論を受け、提言案の修正を行い、次回WG(10/24)に提示する。

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