第2回実務情報交換会「ADR法見直しに向けた検討課題–ADR機関アンケート調査の結果を中心に」議事概要

日時:2011年7月27日(水)15:00-16:50

会場:商事法務研究会2階会議室

司会:垣内秀介(当協会ADR調査企画委員会委員、東京大学准教授)

〔冒頭〕

あいさつ 道垣内正人(当協会代表理事、早稲田大学教授・弁護士)

〔報告〕

1 検討の経緯と本アンケート調査の概要【資料】: 垣内秀介

2 ADR 法総則の改正課題(問8-9):松川忠晴(WG メンバー、証券・金融商品あっせん相談センター理事)

3 相談業務との連携をめぐる課題(問10-11):渡部晃(WG メンバー、日弁連 ADR センター委員長)

4 人材養成をめくる課題(問13-16)【垣内資料】【田中資料】:垣内秀介

5 認証制度をめくる課題:佐藤昌之(WG メンバー、自動車製造物責任相談センター事務局長)

6 コメント:河井聡(ADR 調査企画委員会・委員長代行、弁護士)

・法改正に直結するのは総論と認証の部分だが、それ以上に現場の声を聞くのが重要と考え、幅広く質問項目を作った。

・応諾率や知名度に悩みがある。案件が少ないことと関係している。器はできたが活用されていないとの声は多い。

・財政基盤は総じて弱い。案件が増えるほど赤字になるところもあれば、損益分岐点を超えればメリットが出てくるところもあり、様々。各省別にやっている行政型ADRは予算がついてしっかり運営されているのとは対照的。

・「連携」にはいろんな意味があるが、法には書いてあっても現実にはそれほど実施されていない。「うまくいかなかったときに別の機関にいく」という点がうまくいってない。

・秋までに整理して提言を出したい。法改正案を目標とするが、問題提起にとどまる可能性もある。

〔全体討議〕

フロアから:

・報告を興味深く聞いた。立法当時、基本法としての性格を持たせることを含め、いろいろな議論があったが、結局、促進法となった。その後の金融ADRなど見ると、促進の部分も強力にする仕掛けがいろいろ出てきていることがわかる。これらも参考に、「格上げ」も検討して欲しい。

・国の責務ということについて、日本社会で裁判と並ぶ魅力的なADRをどのように構築するか、現行法には具体的手段が書かれていない。ADR促進計画を閣議決定するなどして、それを実施することを総則に組み入れてはどうか。認証の法的効果など個別の問題も重要だが、日本としてどうするかが現行法にはない点が問題。

垣内:貴重な提言と受け止めている。基本法という選択肢や、法改正以外のADR促進策も視野に入れながら、引き続き検討したい。

フロアから:

・全体像としてどう考えたら良いか、混乱した印象である。これだという方向が出てこなくて、茫漠とした不安定感がある。

・多義的な問題の所在がはっきりしたのが「相談」であるが、位置づけは難しい。統計にも響いてくる。相談のなかに相当なものが含まれていると考えている。弁護士法72条を筆頭にいろんな問題があるが、どう検討していくか。理詰めでなく社会的な問題である。

・ADRは訴訟の隣り合わせという捉え方も、強行的解決との関係で、それで良いのかという議論もある。大きな波で揺れ動いてきて、必ずしも精算されていないまま混乱要因として残っている。理論とともに、価値観の問題もある。

・多数のプロフェッションの問題がある。訴訟も例外ではない。今後は弁護士も訴訟も減る見込み。進化するという仮定で考えてきたが考え直すべきかも知れない。

・基本法的な角度から整理するというのは一案。激しい仕事だが、超えたところに別の世界への一歩が開ける。

・今は問題と混乱の中にあり、前に行けない。てっとりばやいのが金融ADRを1つの示唆にすることだろう。アメリカも同じ状態。

垣内:

「相談」が重要なポイントという点はWGでも議論された。現実には、当事者は援助と情報提供を求めてくる。これをどうADRと接合していくか。またADRと訴訟という大きな関係をどう捉えるかという根本問題もある。財政面を考えても、訴訟への扶助のように民間ADRへの補助というのがあり得るのか。憲法上の「裁判」を受ける権利の保障とADRとの関係など、根本的に捉え直さないと難しい。しかし生産的な苦しみとなるよう努力したい。

フロアから:

・消費者相談業務の見直しを検討する立場から今日の話を聞いた。

・消費者相談が多様化し、企業活動もいろいろ。専門性がないと対応できない事例が増えた。現状はいろいろな窓口があり過ぎて利用者にわかりにくくなっているので、各機関が、より利用されやすい形で工夫すべきと思う。

・できれば一元の窓口があると良い。国民の視点でというのは外せない要件なので、消費者庁がその役割を果たすべきではないか。

・今後、消費者力が培われていくためには、自分で起こした問題は自分で解決するという意識が必要。「自分のお金で」解決することが重要。 かつては公的機関の関与が必要な時代があったが、今は法整備も進んだ。どんどん人頼み・行政頼みになっているのを感じると、日本は大丈夫かと思ってしまう。ADRの利用料負担は当然ではないかと思う。

垣内:

一元化の問題、国民の意識の問題、ともに重要な論点である。前者については、紛争分野ごとに、当該分野に関する国の施策の一環としてADRの促進を位置づけるというアプローチと、民事紛争の処理として一般的に捉え、司法との関連でADRを位置づけるというアプローチとが存在する。前者では、当該分野の所管官庁が前面に出ることになるし、後者では法務省ということになるが、両者をどのように組み合わせるのか、切り分けの問題がある。

後者については、にわとりとたまごのような面もあるが、自主交渉支援型のADRの展開が一種の運動的色彩も帯びてきたことも考えると、逆に、ADRの促進が国民の意識を変える起爆剤になる可能性もあるのかもしれない。

 

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